ブロッコリーの花蕾が大きく揃う。
その裏で静かに働いていたのは、ケイ素だった。
ブロッコリーの出来は、じつは早い段階で決まっていく。
外葉がきれいに立ち上がり、茎がしっかり太り、
中心部に“花蕾を支える土台”がつくり込まれるかどうか。

この土台が少しでもゆらぐと
花蕾は小さくなり、粒が粗く揃いにくくなる。
収穫期に進みがバラつく理由も、案外ここにある。
農家がよく漏らす
「今年は花蕾がそろわない」
という悩みは、生育後半ではなく
“最初の体づくり”で静かに始まっている。
そんなブロッコリーの基礎体力を底から支える素材として、
ここ数年、そっと評価を上げてきたのが
ケイ素(シリカ)だ。
見た目はただのミネラルだが、
花蕾の大きさと揃いを左右するのは、
細胞・根・葉という、目に見えない部分の働きだった。
■ 花蕾が揃う圃場は、まず“外葉が強い”
ブロッコリーは、外葉の働きに運命が大きく揺さぶられる。
国内のアブラナ科研究でも、
「外葉の細胞壁がしっかりした株は、花蕾への栄養転流が安定し、花蕾肥大が揃う」
と報告されている。
外葉が健康だと、
- 光合成が落ちない
- 温度差に強い
- 水分保持が安定する
- 雨や風でも細胞が傷みにくい
つまり、
“外葉の体力”が花蕾の体格をそろえる。
ここにケイ素の出番がある。

■ ケイ素は細胞壁を外側から支え、“倒れない葉”をつくる
国際分子科学誌(IJMS)などの報告では、
ケイ素が植物の細胞壁に沈着し、
外側から細胞を支える“補強材”になる仕組みが示されている。
ブロッコリーではその作用が特にわかりやすい。
- 葉が厚く、しっかり立つ
- 強光に負けない
- 蒸散が乱れにくい
- 葉の疲れが遅い
葉がしっかり働き続ければ、
花蕾へ送る栄養もゆるがない。
花蕾の粒がそろう圃場ほど葉が元気なのは、
この細胞の強さに理由がある。
■ 根が強く伸び続けると、花蕾の肥大が“一気にそろう”
ブロッコリーは、花蕾が膨らむ直前ほど根がよく動く。
だからこそ、土が固かったり、酸素が少なかったりすると、
この大事なタイミングで根が止まってしまう。
もみ殻由来のシリカが注目されるのは、
この“根の伸びやすさ”を、土の側から整えるためだ。
日本の土壌物理研究でも、
- 団粒化が進む
- 通気が良くなる
- 過湿で根が止まりにくくなる
といったデータが出ている。
CSIROの研究でも、
ケイ素が根の細胞壁を守り、高温や水分変動でも潰れにくいことが示されている。

根が動き続ける圃場では、
花蕾が不思議なほど同時に太っていく。
■ 花蕾のバラつきは、“葉の疲れ”と“根の停止”で起きる
花蕾が揃わない年は、
決して収穫前だけの問題ではない。
- 強光で葉が疲れる
- 夜間冷えで細胞壁が緩む
- 過湿で根が浅くなる
- 温度差で蒸散が乱れる
こうした小さなストレスが積み重なると、
花蕾の肥大スピードに株ごとの“ズレ”が生まれる。
ケイ素は細胞壁補強と土壌改善という
二方向からの支えを持つため、
こうしたズレを最小限に抑えてくれる。
これは、他の資材ではなかなか再現できない部分だ。
■ 農家が感じ始めた“そろうブロッコリー”の気配
ケイ素を使う農家は、口をそろえて言う。
- 「花蕾がそろって、収穫がきれいになった」
- 「外葉が強く、風で折れない」
- 「高温期でも花蕾が縮まない」
- 「色のムラが少ない」
- 「茎が太く、自立性がある」
どれも、花蕾の揃った圃場に見られる特徴だ。
背景には、
外葉・細胞壁・根の安定がある。
■ ブロッコリーの“価値”は揃いで決まる
市場で評価が高いのは、
- 花蕾がそろっている
- 大きさに安定感がある
- 色・形にムラがない
この3つが揃ったもの。
ケイ素は、その根本にある
“細胞・葉・根”の働きを穏やかに整えるため、
品質が揺らぎにくい。
■ 最後に
ブロッコリーの揃いは、
生育後半の管理だけで決まるものではない。
むしろ、もっと早い段階の
細胞壁・葉の体力・根の伸び・土の呼吸
この“土台づくり”で決まっていく。
ケイ素は、この土台を静かに整え、
ブロッコリーを“揃いやすい作物”へ導く素材だ。
その結果、
花蕾の大きさ、粒の揃い、色の安定が生まれ、
収穫の負担も減り、品質も上がっていく。
ほんの小さなミネラルが、
ブロッコリーづくりの大切な軸を支えている。

